「初期費用0円、月々9,800円でホームページが持てます」——こんな案内を見たことがある個人店オーナーさんは多いと思います。手軽で始めやすいサブスク型(月額制)ホームページは、たしかに最初のハードルが低いサービスです。
ただ、私のところにも「解約したらサイトが全部消えると言われて困っている」「思ったより長く払っていて総額がすごいことになっていた」といった相談がときどき届きます。
私は飲食店の店長を10年、内装現場の管理を13年やってきて、いまはWebデザイナーとして京都・関西の個人店さんのお手伝いをしています。今回は、サブスク型ホームページを検討している個人店の方に向けて、契約前に必ず確認してほしい注意点を、現場目線でまとめました。難しい言葉はできるだけ使わずに書いていきますね。
まず言葉の整理からしておくと、後の判断がしやすくなります。ここを曖昧にしたまま契約すると、あとで「そんな話だったの」となりやすいからです。
サブスク型ホームページとは、月々定額の料金を払い続けることで使えるホームページのことです。「サブスク」は月額課金の仕組み全般を指す言葉で、動画配信サービスや音楽アプリと同じイメージです。初期費用が0円〜数万円と安く、月額はおおむね5,000円〜1万円台が相場です。
これと対になるのが「買い切り型」です。買い切り型は最初にまとまった制作費を払い、そのあとは自分の持ち物としてホームページを保有します。サーバー代やドメイン代などの維持費(年間で1万円前後)はかかりますが、制作費を払い終えればサイトそのものは自分のものです。
つまり、サブスク型は「借りている」、買い切り型は「買っている」——ここが一番の違いです。どちらが良い悪いではなく、この違いを分かった上で選ぶことが大事だと私は思っています。
一番見落とされやすいのが、この「総額」の視点です。月額だけを見ると安く感じますが、ホームページは1年で終わるものではないからです。
たとえば月額9,800円のプランを続けた場合、単純計算で1年で約12万円、3年で約35万円、5年で約59万円になります。飲食店や美容サロンのように、開業してから何年も続けていくお店なら、5年10年と払い続けることもめずらしくありません。
一方、買い切り型で20万〜30万円ほどの制作費を払った場合、その後は維持費だけで済みます。3年目あたりで総額が逆転し、長く使うほど買い切りのほうが割安になっていく、という計算になります。
私は内装の現場で、設備を「月々いくら」で導入して、あとから総額を計算して驚いた、という経営者さんを何人も見てきました。月額の金額そのものではなく、「自分は何年このお店を続ける予定か」を先に考えて、その年数分の総額で比べてみてください。
これは知らずに契約すると一番ショックが大きい部分なので、必ず確認してほしいところです。
多くのサブスク型サービスでは、ホームページが制作会社のシステム(プラットフォーム)の上で動いています。そのため、契約を解約した瞬間にサイトが表示されなくなる、というケースが少なくありません。何年もかけて写真を足し、お客さんの声を載せ、ブログを書いてコンテンツを育てても、解約すればそれが丸ごと使えなくなってしまう可能性があるのです。
さらに、これまで作ってきたデザインや文章・写真などのデータを、解約後に手元に持ち出せるかどうかも業者によって違います。「利用する権利」だけを借りていて、解約と同時にすべて失効してしまう契約もあります。
買い切り型なら、契約が終わってもホームページのデータは自分のものとして残ります。サブスク型を選ぶ場合は、「解約したらサイトはどうなるのか」「データは持ち出せるのか」を、契約前に必ず文章で確認しておきましょう。
ここは専門的に見えて後々の影響が大きいので、面倒でもチェックしておく価値があります。
ドメインとは「〇〇.com」のようなサイトの住所にあたる部分です。サービスによっては、このドメインが制作会社の名義で取得されていて、解約するときに自分のお店に引き継げないことがあります。せっかくお客さんやGoogleに覚えてもらった住所を、乗り換えのときに手放さないといけない、ということになりかねません。
もう一つが契約期間の縛りです。「最低6ヶ月」「1年縛り」「2年縛り」といった条件が付いていて、途中で解約すると違約金が発生するケースがあります。とくに気をつけたいのが、契約の形が「リース」になっている場合です。リース契約は途中でやめにくく、総額も膨らみやすいので、個人店にはおすすめしにくい形です。
私自身、飲食店の店長時代にリース契約の重さを実感したことがあります。契約書の「解約条件」「違約金」「ドメインの名義」の3つだけでも、ハンコを押す前に指さし確認してみてください。
安さの裏側には理由があります。そこを理解しておくと、あとで「思っていたのと違う」を防げます。
サブスク型の多くは、あらかじめ用意されたテンプレート(ひな形)にお店の情報を当てはめていく仕組みです。だから早く安く作れるのですが、その分「ここだけこう変えたい」という細かい要望が通りにくいことがあります。ページ数も「月額内は4ページまで」といった上限が設けられていることが多いです。
集客の面でも制限が出やすいです。SEO(検索で上位に出すための工夫)に本格的に取り組もうとしても、ページの構成を見直したり、お客さんが問い合わせまで進む導線を作り込んだり、といった踏み込んだ施策までは対応できないサービスもあります。ホームページを「あるだけ」で満足するのか、「集客の道具」として育てたいのかで、向き不向きが変わってきます。
飲食店でいえば、既製のメニュー表で十分な店もあれば、看板メニューを主役に見せたい店もあります。自分のお店がどちらのタイプかを考えると、判断しやすくなると思います。
最後に、ここまでの話を「自分の店はどっちか」に落とし込んでおくと、迷いが減ります。
サブスク型が向いているのは、とにかく早く安く「最低限のホームページ」を用意したい方、更新やサーバー管理を全部おまかせにしたい方、数ヶ月だけの期間限定のお店やイベント用ページが必要な方です。まず名刺代わりの一枚があればいい、という段階なら選択肢になります。
逆に向かないのは、お店を長く続ける予定の方、ホームページを育てて集客の柱にしたい方、将来ほかの会社に乗り換える可能性を残しておきたい方です。こういう方は、少し初期費用がかかっても買い切り型のほうが、結果的に安く自由になりやすいです。
私は「無理に高いものを勧めない」ことを大事にしています。サブスク型が悪いのではなく、自分のお店の状況に合っているかどうかがすべてです。月額の数字だけで決めず、続ける年数・解約後にどうなるか・自由度の3点で、一度立ち止まって比べてみてください。
サブスク型ホームページを検討するときは、次の5点を契約前に確認しておくと安心です。続ける年数分の総額はいくらか、解約したらサイトとデータはどうなるか、ドメインの名義は自分になるか、契約期間の縛りと違約金はどうか、そしてデザインや集客の自由度は足りるか——この5つです。
私は、京都・関西の個人飲食店やサロン、整体院、現場系のお店のホームページづくりをしています。「うちの場合はサブスクと買い切り、どっちが合っている?」という段階のご相談も歓迎です。
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